開設から6年が経過し、現在まで四つの企業がNBICから卒業し、そのうちの2社が、長岡市内に工場を建設している。入居の方も、開設以来、満室か1室のみの空き、というような状況が続いている。需要が多いことから、09年には、企業のオフィススペースである業務室を1室増設、10年には開発のためのスペースを1室増設するなどの対応を取っている。このような状況に対し、NBICの有本匡男センター長は、「開設からこれまで、非常に順調にきている」と喜ぶ。
長岡市が運営
NBICの特徴の一つとして、地元自治体である長岡市が直接運営しているという点が挙げられる。そのため、入居企業は市の産業施策に関する情報をダイレクトに入手することができる。また、資金のないベンチャー企業にとって重要な、国や県などが行っている各種補助金等の有益な情報も、市などを通じて集まり、入居企業へ提供している。現在入居している時田CVDシステムズの時田修二社長も、「補助金などの情報が入るのが早い。ここ(NBIC)にいると、いないとでは大きな違いがある」とメリットを語っている。
また、NBICの場所が長岡技術科学大学と隣合わせという点も魅力。産学連携で技術や製品開発に取り組みたい企業にとってはうってつけだ。実際に入居企業、また入居希望者の声でも「長岡技科大が近くにあるから入居先に選んだ」などというものが多いという。
人脈生かした支援
現在、NBICは有本センター長、企業支援などを担当するメンター、市職員、事務員の4人のスタッフで業務を行っている。有本センター長は、地元の長岡工業高等専門学校の教授を退官後にNBICセンター長に就任した。入居企業への技術的な支援では、各スタッフの経験を生かしたアドバイスや、これまで培ってきた豊富な人脈を生かして、長岡技科大や長岡高専などの専門家に依頼することなどで対応している。また、「入居企業の要望に応えて動くのが我々の役目」と言う有本センター長自身も、入居企業が新製品開発に動くときには、需要動向などの市場調査を自ら行ったり、また、企業から「新たな人材が欲しい」という要望があった時には、新潟県内の各大学を回り、採用につなげた例もある。
卒業企業の2社が市内に工場を建設するなど、これまで順調にきており、現在の入居企業も「良い企業がそろっている。工場を持ちたいという企業もあり、今後が楽しみ」と有本センター長は言う。また一方で、課題については、ベンチャーキャピタルから入居企業への投資案件が一件も成立しなかったことを挙げる。「ベンチャー企業は資金に乏しく、製品開発費の負担が大きい。投資の話しがまとまらなかったのは残念だが、引き続き、国などからの競争的資金獲得の支援などを通じ、入居企業の製品開発を手助けしたい」と語っている。
NBIC卒業企業に聞く、入居のメリット
アイエスマックは各種産業用自動機の設計・製造を主力としている。NBICには開設時に入居。NBICで4年間業務を行った後卒業し、08年10月に長岡市内の産業用地「長岡オフィス・アルカディア」に工場を構えた。同社の五十嵐茂社長はNBICへ入居したことによるメリットについて、「さまざま人と知り合えた」ことを一番に挙げる。入居する企業同士の日常の交流や、忘年会などの各種イベントを通じて親しくなり、ビジネスに発展、現在でも取り引き関係が続いている例もあるという。また、NBICを訪れた長岡技科大や、新潟県工業技術総合研究所の研究者などとも知り合うことができた。このつながりが縁で、長岡技科大のテクニカルアドバイザーとして学生に図面の書き方を教えるという機会も生まれた。
そのほか、現在の工場建設地である長岡オフィス・アルカディアに関しても「市の担当者から情報をもらった。NIBCに入居していなければ知らなかっただろう」と話している。
【地域メモ】
県中央部に位置する長岡市は人口約28万人の新潟県第二の都市。長岡といえばなんと言っても、毎年8月に開かれ、全国有数の花火大会として知られる長岡まつり大花火大会。当日は県内外から多くの見物客で町は賑わう。
取材:阿部正章(新潟支局)









