みなさんは、デザイナーに業務を依頼した時に、どのように支払う代金をどのように決めていますか?(そもそも費用を支払っているでしょうか?!)知人・友人はボランティアでデザインしてくれるとしても、プロのデザイナーにデザインの業務を依頼する場合は、当たり前のことですが代金を支払いますね。
デザイン代を試算するときに最も難しい点は、デザインする技量やセンスは単純に作業時間では代金を割り出せないところだと思います。
デザイナーは職人と似ている部分もありますが根本的に違うので、年数を重ねたデザイナーが良いデザインができるとは限らず、残念ながらセンスがいまひとつの往年デザイナーも居たり、センスは良いけども作成するのにかなりの時間を要するデザイナーさんも居たりします。
つまり、代金を試算する基準を何にすれば良いか極めて不透明なまま、発注する企業はデザイナーに業務依頼しているのが現状です。
とはいえ、国内にある様々なデザイン協会独自に、デザイナーへ支払う作業代金の基準を設けているので、それを参考にするのも良いでしょう。それはあくまでも公平な視点からの基準なので、もしかすると実際には、発注側と受注側の資本的な見えない力関係もからみあってくるので、そのとおりにならない場合もあります。
私の短いながらもデザイナー経験からすると、大方デザイン代は発注企業が決めているように思います。デザイン代という予算枠が事業全体で決める企業が大半で、どんなにデザイナーがいくらと言っても、その枠内で業務を受注するデザイナーも少なくないのではないでしょうか。そこで、企業がデザイン代を決めるという前提で、よりそのやりとりがスムーズにいく方法をステップでお話しします。
デザインを発注する場合、予算枠を必ずできるだけ早い段階からデザイナーに伝えることが大切です。「この作業だとどのくらい代金を支払えばよいか」とデザイナーに聞いてみるのも、もちろん問題ではありませんが、大抵この場合、「べらぼうに高い代金を請求してきた」と嘆く発注側の企業も少なくありません。
デザイナーにすれば、聞かれたことに答えただけなのに、その後全く連絡が取れなくなる企業の行動に困惑してしまいます。
もちろん、何をデザインするかが決まっていないのに、予算枠が先行して決まっているのはデザイナーからするとおかしな話に聞こえますが、予算で動く企業にとっては、この予算枠内でデザインしてくれるデザイナーに発注したい思惑もわからないまでもありません。
予算枠を先にデザイナーが知れば、次のステップ2のことが考えられて、前向きに両者にとってスムーズなやりとりができるようになります。
ステップ1の続きで、デザイナーは伝えられた予算枠で、どのような部分ができるか、何ができないかを明確にすることができます。
できない部分というのは、あまりに作業が複雑であれば、デザイナーもそれをさらに作業を外注しないといけなかったり(つまりデザイナー自身も発注費用がかかること)、マーケティングを含んだ作業は時間がかかるのでその部分をマーケティング会社へ委託したりするので、予算枠では引き受けられないことがこの時点でわかります。
「なんとか予算枠内で、できない部分も含めてデザインしてもらえないか」と無理な発注を通すよりも、どうすればこの予算枠内でできる限り作業を引き受けてもらえるか考えることが大切です。
その場合、考え方は2つあります。発注企業はデザイナーに対し、成果物にかけるデザイン作業にかかる時間に余裕を持たせるのか(つまり、デザイナーのスケジュールに合わせて、スピードをゆるめるのか)、もしくは完成度のレベルを落とすわけにはいかないので、予算枠を増やすか、もしくはデザイナーの作業範囲を狭めるかです。予算と成果物の完成度は比例しています。
また、デザイナーごとに自分のデザイン作業代金の時価総額があります。まずは、予算を伝えて、いくらならどのくらいまでの作業を引き受けてくれるかを聞き出すと良いでしょう。いきなり予算を伝えるのには気がひけるという方もいますが、すべての打ち合わせを済ませた上で「実はこれっぽっちしか予算がなくて・・・」と言われるデザイナーにはこくな話です。
反対に、力関係を冒頭で話しましたが、「この予算枠でこの作業をして欲しい」と予算以上の作業を発注してデザイナーが仮に引き受けたとしても、この関係はこの一回限りで終わる可能性はかなり高くなります。
デザイン代は発注する企業のあなたが決めるのです。そして、その決めたデザイン代の枠内でどのようにどこまでデザインするかが決まります。
あとがきByノトサチ
今回も最後までお読みいただきましてありがとうございます。
よく、「能登さんはいくらでデザインしてくれるのですか?」と聞かれることがあります。今回のテーマのとおり、私はまず「いくら予算がありますか?」と反対に聞き返します。ちょっとストレートすぎる?なんて思われましたか?いえいえ、これも全て、今までの経験からわかったことですが、私から「いくら」と見積もりを出しても、結局は「これだけしか払えません」という企業も少なくなく、だったら最初から予算枠を聞いた方が、互いにやり取りもスムーズに行え、結果企業も「この代金でここまでデザインできる」とわかり、不明確な部分が少なくなり互いにHAPPYになった経験があります。
基本的に自分が以前デザイン会社で働いていた時の給与を時間で割り、発注企業の要望にかかる作業時間を見積もり、それに時間単価をかけると代金の基準が一つできます。それに、経験であったり引き合いの数をかけて代金に上乗せしてデザイナーの時価総額が変動したりします。もちろん、デザイナーごとにデザイン代金の考え方は星の数ほどあるので、一度仕事をするだろうデザイナーに代金を聞いてみるのも良いでしょう。企業側自身も、相場を養う努力が必要です。
株式会社サチコーポレーション 代表取締役
和歌山市生まれ。Kansas City Art Institute工業デザイン科BFA学士修了。現代経営論プログラム終了。帰国後、国・県・地方自治団体のデザイン経営専門家として創業における事業の見せ方についてアドバイスする。またその約1,500件の事例を全国各地でセミナー・講演活動している。
また、現在は工業デザイナーとして水素燃料電池からファッションアクセサリーまで幅広くデザインする日々を送っている。
www.sachicorp.com (サチコーポレーション)









