諏訪圏ものづくり推進機構(長野県諏訪市)は「諏訪圏工業メッセ」の事務局・企画機能を担当し、展示会を核にした中小企業支援を行っている。同メッセは中小企業の集積地である長野県諏訪地域(諏訪市、茅野市、岡谷市、下諏訪町、富士見町、原村)の自治体や商工会議所が協力して2002年に初開催、今年で10回目を迎える。同機構では10月に控えた展示会を今まで以上にビジネスに結びつけるべく、活動を強化している。 (写真 諏訪周辺には工場のほか、温泉旅館など商業施設が立ち並ぶ)
海外企業との取引支援本格化
10年の展示会で商談成立に一役買ったのが「ひとわざ(一技)PRシート」だ。自社の強みを文章と写真、図表で簡潔にまとめたもので、出展企業が作成する。諏訪圏ものづくり推進機構のアドバイザーが内容を確認し、必要があれば書き直しを要請する。「興味を引く表現を使うことや精度の数値化は大事で、従来との比較も重要」(宮崎吉信同機構アドバイザー)という。
今回も展示会での効果を高めるため「展示活用セミナー」を7月に実施し、同シートの作成ポイントを出展企業に説明した。各企業が作成したシートは展示会場などで活用できるように、1000部の冊子を作る。また、ホームページ(HP)に掲載するにあたり、今まで複数あった諏訪圏企業を紹介するHPを「諏訪圏企業ガイド」に一本化。企業が情報に接しやすい環境をつくると同時に、大手企業や海外企業への電子メール配信も行っていく。
グローバル化への対応も進んでいる。海外企業との本格的な取引支援として日本貿易振興機構(ジェトロ)諏訪支所が海外から5社を招き、展示会場で商談会を開催する。同展示会では諏訪地域で活動しているデスクトップファクトリー(DTF)研究会も国際交流事業の一環で企業を招くなど海外企業との取引支援活動が本格化してきた。
精密加工業が集積する諏訪圏企業では昨今の円高により、国内からの受注減を危惧する声は少なくない。海外企業との取引は国内需要の穴埋めだけでなく、自社技術の向上や産学連携の意識を高めるきっかけとしての期待が大きい。
ユニット受注に照準
このような商談を活発化させる活動を支えているのが地元企業のOB人材だ。同機構独自の「OB登録制度」には地元企業を定年などで退職した約100人が登録。それぞれが持っているスキルを生かし、中小企業をサポートする取り組みを展開している。
展示会の商談会へはOBと支援機関の人的ネットワークを利用し、大手企業から来場者を招いている。昨年は豊田通商、日産自動車、東京エレクトロンをはじめ、国内外14社の大手企業を商談会に招くことに成功した。「OBのアドバイザーは常時35人程度が活動しており、地域の企業に恩返ししようという強い気持ちを持っている」と小坂和夫常務理事は話す。こうした活動が評価され、諏訪圏ものづくり推進機構は7月に県製造業の発展に寄与する団体に贈られる「ものづくり大賞NAGANO」特別賞を受賞した。
今年の諏訪圏工業メッセの特徴について小坂常務理事は「諏訪圏では独立独歩で起業した経営者が多く、横のつながりが薄かった。工業メッセの開催で意識は変わってきたが、より進めていかなければいけないというメッセージを込め、テーマを『点から線、そして面へ』とした。特にユニット受注を狙い、諏訪圏でワンストップ対応できることを打ち出したい」と意気込む。
地域全体に好影響
諏訪圏工業メッセは昨年、約2万5000人の来場者があり、地方開催の工業専門展では国内最大規模となっている。出展企業193事業所へのアンケートによると、出展企業1社あたりの商談件数は4.8社で、会期終了後2週間で約18%の企業が新規受注を獲得した。
さらに、会期中の出展者と来場者の支出を合わせた直接的経済効果の試算は約3億4000万円。ビジネス効果を高め、展示会をさらに盛り上げていけば出展企業だけでなく、諏訪圏全体の商業などへの波及効果も大きい。
【地域メモ】
諏訪地域では1940年頃、製糸産業が衰退すると代わりに時計産業が栄える。疎開企業の工場と相まって精密加工技術が磨かれ、現在の中小企業の集積地を形成した。諏訪圏ものづくり推進機構では、かつて「東洋のスイス」と呼ばれた同地域で、独自の「SUWAブランド」確立を目指す。
取材:藤野吉弘(諏訪支局長)









