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第58回 「豪技」ブランド発信(新潟県)

ものづくり紀行
新潟県長岡市は機械産業に代表されるモノづくりの町だ。明治時代、この地で石油が産出され、それに伴い、石油掘削のための機械、器具の製造が行われたのが始まりとされている。現在でも、大手工作機械メーカーや地場の機械メーカーの工場が多く立地しており、これらを支える鋳物や、機械加工などの中小製造業も集積している。この長岡で、2005年に地域産業活性化を目的に立ち上げられた団体がある。それがNPO法人長岡産業活性化協会NAZEだ。

地域産業活性化に向け立ち上げ

NAZE・豪技・認定式
NAZE・豪技・認定式

設立のきっかけとなったのは、新潟県が県内各地の地場産業を支援するために行った施策「地場産業振興アクションプラン」だ。長岡地域ではその実施主体として地域の中小製造業を中心にNAZEが設立された。当初は任意団体としてスタートしたが、活動の幅を広げることなどを目的に09年にNPO法人化。現在は長岡地域の産官学など約80会員が参加し、活発な活動を行っている。

NAZEでは現在、特に力を入れている事業がある。会員企業の優れた技術や製品などを認定する「豪技(ごうぎ)」事業だ。「ごうぎ」とは長岡地域の方言で、「すごい、ものすごい」などを意味する言葉だ。実はNAZEでは05‐08年の間、会員各社の技術などを「豪技」としてホームページ上などで紹介していた。ただ、「選びっぱなしで終わってしまっていた」(事務局)といい、その後は特に情報発信などはされていなかった。

リニューアル

古川機工・スイットル
古川機工・スイットル

そのような経験を踏まえ、今回は大きくリニューアルして「豪技」事業に取り組んでいる。認定に当たっては、外部有識者などで構成される審査委員会が独創性、技術性、市場性などの視点から審査し、当該年度最大3件を豪技として認定する。認定された企業には、展示会への無料出展などの特典を与えたり、NAZEが広報面で優先的にバックアップし、豪技の発信を積極的に行っていく。

「豪技」認定事業の、リニューアル1回目となる今年は、二つの企業の製品が選ばれた。古川機工(新潟県長岡市)の「スイットル」と、ナノテム(同)の「エアロフィックス」だ。古川機工のスイットルはマヨネーズなどの柔らかいものでも型くずれなく、他の場所へ移載できる装置だ。各メディアなどで取り上げられ話題になり、スイットルを紹介した動画がインターネットの動画共有サイトで視聴回数190万回を越えるほどの人気だ。スイットルの試作機はNAZEの支援を受けて開発されたものでもある。もう一方の認定製品であるナノテムのエアロフィックスは、1台でさまざまな大きさのワーク(加工対象物)を吸着できる多孔質セラミックス真空チャック。ガラス基板やフィルム基板などの吸着用として今後の展開が期待される商品だ。

NAZEではこの事業を継続させていくことで、「豪技」を長岡地域のブランドとして広く認知させていきたい考え。時期は未定だが、将来的には、会員企業以外にも認定対象を広げていく考えだ。

人材育成事業

NAZE・受講者から好評な「NEXT道場」
NAZE受講者から好評のNEXT道場

地域産業活性化には次世代を担う人材の育成もかかせない。人材育成事業もNAZEの柱事業の一つだ。中でも参加者から評価が高いのが40歳以下の若手経営者や、後継者などを対象とした若手育成塾「NEXT道場」だ。11年で第6期目を迎え、これまで50人の卒業生を送り出してきた。各回講師を招き10回に渡り、経営分析など会社経営に必要なことを学ぶ講座。広く地域人材を育てる意味を込めて、会員以外にも門戸を開いており、今年は開設以来初めて会員外から参加者があった。経営の基礎知識を学べるのはもちろん、若い世代の人脈づくりの場にもなっており、2年連続して受講する人もいるほどの人気ぶり。NAZEの小西統雄会長は「『NEXT道場』も今年で6期目となり、内容も練られてきている。昨年からは50歳以下を対象にした『U-50研究会』も立ち上げており、より充実させていきたい」と話している。



【地域メモ】

県中央部に位置する長岡市は人口約28万人の新潟県第二の都市。長岡といえばなんと言っても、毎年8月に開かれ、全国有数の花火大会として知られる長岡まつり大花火大会。当日は県内外から多くの見物客で町は賑わう。

取材:阿部正章(新潟支局)