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第62回 ICT・コンテンツ産業で産学公が連携

ものづくり紀行
中野ブロードウェイ

 サブカルチャーの街である中野でコンテンツ産業を育成-。東京都中野区で2012年4月に産学公の連携組織「特定非営利法人中野コンテンツネットワーク協会(愛称NAKANOプラプラ)」が設立される。区内に集積する情報通信技術(ICT)・コンテンツ業者が連携する取り組みで、専門学校や大学なども参画する。設立後は中野を舞台にしたメディア発信や共同受注なども進めていく考えだ。


ICTとコンテンツを結びつける

東京コンテンツインキュベーションセンター
東京コンテンツインキュベーションセンター

中野は新宿などの都心に近く交通の便も良く、事務所賃料が安いことなどから戦後、ICT・コンテンツ業者が集まり、関連事業所は現在710社ある。ICT・コンテンツ産業に特化した都の「東京コンテンツインキュベーションセンター」もあり、携帯電話のアプリケーションやゲーム開発業者らが入居している。

また、中野区の中心にある中野ブロードウェイはサブカルの聖地として、国内外から多くの人が集まる。また、若者の人口比率が高く、「演劇や映画、お笑いなどの文化表現活動が盛ん」(田中大輔区長)なことも特徴だ。今年10月には廃校となった小学校施設を活用し、「中野マンガ・アートコート」を開設。若手クリエーターの養成の場などとしての活用が期待されている。

産学公一体で中野をコンテンツの街に

区内のコンテンツ業者は小規模で業務内容が細分化されていることもあり、「これまで企業どうしで結びつくことはほとんどなかった」(中山典隆理事長=イプシロン社長)という。コンテンツネットワークの設立により区内企業どうしの横のつながりができることで、新たな事業の創出にもつながる。将来はウェブを活用した共同受注などを行うことで、単独ではできなかった業務や各社の強みを生かした業務の受託も進め、受注機会の拡大をあっせんしていく。コンテンツとICTをうまく結びつけ、「"中野ブランド"として発信したい」(中山理事長)考えだ。

現在、ICT・コンテンツ事業者11社と学校、中野区などで準備会を立ち上げ、設立に向けて準備を進めている。11月に行われた設立キックオフイベントでは約130人の区内ICT・コンテンツ業者が集結。田中区長やコンテンツを専門とする教授、区内事業者らとのパネルディスカッションなどを行った。終了後の懇親会ではあちこちで名刺交換が行われ、コンテンツ産業について熱心に語り合う姿が見られた。田中区長も「(ICT・コンテンツ産業が)中野の大きな産業になることを期待している」と述べるなど、産学公一体となって中野をコンテンツの街にしようという取り組みが進んでいる。

観光協会と連携も

来春竣工する大規模オフィスビル(産業振興の施設も入る)
来春竣工する大規模オフィスビル(産業振興の施設も入る)

設立後は中野の街を舞台にした代替現実ゲーム(ARG)の開催などから活動を始めていく考え。「中心部だけでなく、来た人をいかに回遊させるかが大事」(中野区産業・都市振興分野)として、区内に多く残る史跡を生かして、これらの史跡を巡る仕掛けづくりなども視野に入れている。このほか、子ども向けワークショップイベントの開催や中野をテーマにした映像製作、インターネット放送局の運営などが候補にあがっている。災害時にも機能する通信インフラの研究開発やセミナー、イベントの開催、会員間の交流事業も検討している。また、区内には芸術系大学やICT系の専門学校があることから、若者の人材育成も進めていきたい考えだ。

中野駅周辺では現在、大規模な再開発が行われており、来年春以降に大規模なオフィスビルが開業する予定。ビル内には産業振興の拠点となる施設も設置される。また、再開発地区には3大学がキャンパスを設置する計画で、若者人口のいっそうの増加が見込まれる。中野の街が大きく変わる時期に合わせ、区内のコンテンツ産業も大きく発展する。来春に区内事業者らによる民間主導の「中野区観光協会」が立ち上がる。「(我々の活動も)観光協会とは切り離せない。いずれ連携することになるだろう」(同)との認識を持っており、両者が協力して中野の街を盛り上げていく。



【地域メモ】

東京都中野区はサブカルチャーの聖地、ICT・コンテンツ産業の集積地として、バーチャルとリアルのコンテンツ資源が豊富に存在する。中野駅周辺の大規模な再開発を機に、こうした都市型産業を育成しようという動きが強まっている。

取材:東和宏