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第56回 デザイナーとマーケティングをする

ものづくりデザイン講座

どんな商品でも、つくられる前に何かしらマーケティングが行われているはずです。(そうでなければ問題です!) そのマーケティング手法として前回もお話ししましたが、シリコンバレー流にものづくりをするのであれば、絶対に痛み止め剤(無くてはならない不可欠なもので、必ず必要とする人がいるもの)をつくることです。

その場合、どうすれば的を外さずに痛み止め剤というものづくりができるのか?

私は"デザイナー"の存在が鍵を握るとみなさんに言っています。


デザイナーでも特にプロダクトデザイナーやパッケージデザイナーなどは、常に使い手の目線に立って"使いやすさ"とは何かを徹底的に考えるトレーニングを大学生のころから身につけています。これはスゴイことです。


例えばそのデザイナーが三十歳、四十歳代になると、大学生のころからなので、十年、二十年あまりを日々トレーニングされてきていると考えられるからです。昨日、今日でその能力は身につかないのですから!


しかも、デザイナーたちは意識的に痛み止め剤をつくることは学んで来なかったかもしれませんが、「どうすれば●●はより良く改善できるか」と意識的にデザインすることは学んでます。これが痛み止め剤のつくる考え方の基礎中の基礎なのです。そのトレーニングされたデザイナーだからこそ、ものづくりをする企業にとって強い即戦力となります。


例えば、痛み止め剤の考え方に基づいてつくる商品やサービスの場合、どこに誰が一体どれほど深刻な問題をどのように抱えているかを徹底的に解決する方法を提供することが大前提です。そのときに、市場を冷静に見極め何が問題の本質であるかを見つけながら、その場その場でどのような形のものがそれに合うのか、デザイナーの知恵とものごとの見方からマーケティングするのです。


会議室でネットだけをパラパラと見て、それだけで市場を知った気になっていては、いつまでたっても、本当の意味合いであるマーケティングはできませんし、したことにはなりません。ネット上にある情報というのは、いわば全てが過去の産物。情報がどんなに新しいといっても、実際は起こってしまったことがそこに掲載されていて、解決されていない市場に潜む問題(ニーズ)というのは、現地に足を運ばない限りわかなないのです。


それには、一度デザイナーと街を歩いてみるのも良いでしょう。なんちゃってマーケティングはやめて、世の中にある問題(←これがニーズ)を探してみるのがマーケティングのはじめの一歩となるでしょう。



あとがきByノトサチ

今回も最後までお読みいただきましてありがとうございます。実は今回お話ししたように、私も、ものづくり企業さんと街を歩いてマーケティングをすることもしばしばあります。モノをデザインするときに一緒にいるものづくり企業さんが「こんな感じのものをデザインしたいんだ」という「こんな」を調べにいきます。これがネットやプリントアウトされた情報を紙上でみたとしても、絶対に得るものは限られていたなと、その時に思うのです。やっぱりその時の空気を吸わないことにはわからないのです。まして、データーベースなどからは真実は見えてこない、と思うのでした。

能 登  左 知(のと さち)
株式会社サチコーポレーション 取締役
和歌山市生まれ。Kansas City Art Institute工業デザイン科BFA学士修了。現代経営論プログラム終了。帰国後、国・県・地方自治団体のデザイン経営専門家として創業における事業の見せ方についてアドバイスする。またその約1,500件の事例を全国各地でセミナー・講演活動している。
また、現在は工業デザイナーとして水素燃料電池からファッションアクセサリーまで幅広くデザインする日々を送っている。
www.sachicorp.com (サチコーポレーション)