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街の美化に貢献する環境に配慮した商品を開発・販売[株式会社オギノ]

まち美化用具販売業・省エネ用具販売

都の発注制度で認定受ける

 オギノは街を美化する環境関連商品の開発を手がけているベンチャー企業だ。「街をきれいにしたい」という思いから、歩道にこびりついているチューインガムを簡単に除去する溶剤「ガム取り番」と同溶剤を利用して、屈むことなく立ったままガムを除去する器具「立式ガム取り棒」を開発した。地方自治体やNPO法人を通じて購入され、街の美化運動に利用されている。最近では、社会問題化している落書きを簡単に落とすことができる商品「らくがき番」の販売を開始した。環境意識の高まりを受けて、オリジナルのアイデアで街の美化に貢献している。
 「ガム取り番」と「ガム取り棒」が2009年度の東京トライアル発注制度で認定された。都民生活の利便に寄与し、かつ既存の商品と著しく異なる優れた使用価値を有していると認められたもの。今後トライアル発注認定業者として随意契約により東京都の機関が購入することが可能となる。

簡単にガムを除去するアイデア商品

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写真1 かっがむことがなくガム取り
作業ができる

 「ガム取り番」(1セット2,625円)は、人体に有害な物質や有機溶剤を含まない液体で、歩道を傷めずに、天然石やレンガ、人工石など浸透性の低い歩道に黒くこびりついたガムを溶かすことができる。1カ所当たりに必要な分量は0・1-0・2ccで、1本(50ミリリットル入り)あたり100カ所のガムをはがせる計算になる。オギノは「ガム取り番」の開発に際して、2006年度の「新宿区ものづくり産業支援事業補助金」の助成を受け、筑波大産学リエゾン共同研究センターの藤森憲シニアコーディネーターと試験を重ね、製品化に成功した。当初、筑波大に製品開発の相談をした際には、開発には1週間も掛からないだろうと回答を得たが、人体に悪影響を及ぼす有機溶剤や環境物質を一切使わずに開発する、という条件下では、思いのほか開発に手間取り開発期間は1年を要した。
 2007年4月に商品化された「ガム取り番」は、オレンジオイルやグリコールを原材料にした溶剤で、商品にはほかに金属製ブラシ、溶かしたガムをはがすへら、ガムをはがす際に指が地面に直接当たらないようにする指のプロテクターなど4点セットをセットにして発売した。荻野社長は「ガム取り番」を開発した直接の経緯について、「車道や店舗の美化、清掃を手がける製品やサービスはあったが、歩道を対象にして清掃する製品は無かった」と話す。
 早速、「ガム取り番」の販売を始めるかたわら、実際に同商品を利用して歩道にこびり付いたガムをはがす作業は簡単ではない、という事に気づいた。というのも液をガムに垂らして、へらでガムを擦る際にかがみ込んで作業を行わなければならないからだ。街の清掃作業は行政の職員のほかに、ボランディアが行うケースも多く、そうしたボランティアには定年を過ぎた人たちも多く見受けられる。かがみ込んでガムを取る作業は、思いのほか身体に負担となる事を知った荻野社長は、早速改善策を打ち出した。そこで考案したのが2007年秋に商品化した「立式ガム取り棒セット=写真1」(1本10,500円)だ。

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写真2 立体ガム取り棒の先端部

 「立式ガム取り棒」は、水道管などに使用される塩化ビニール製の管を素材にして製作した商品で、管の先端に「スクレーパー」と呼ぶステンレス製のへらを付け、その上にガム取り番を備え、本体の外側を下方へ押すと、先端についているスクレーパーの上にガム取り番が適量流れる仕組みのモノだ(写真2)。スクレーパーを直接ガムの端に置き、液体を流したところでそのままガムを取ることができるのが特徴で、誰でも簡単に利用することができる。従来の様に、作業者が膝をついたり、かがむ等の苦痛を伴わずに立ったままガム取りができるため、利便性の高い器具と言える。開発はアイデア商品を手がけるヒロサポート(東京都新宿区)に委託した。ガムなどをはがすためのスクレーパーは数多く販売されているが、オギノ製品の特徴はスクレーパー先端が半円状で除去物をつかまえやすく工夫されている。しかも、スクレーパー自体はしなやかに曲がり、かつ板バネのように元にもどる。「刃先がないスクレーパーは全国でも珍しく、安全性も高い」(荻野社長)と話す。発売後、行政からの引き合いが多く、現在までに千代田区、新宿区、稲城市などの自治体や私鉄などの公共交通機関が購入、街の美化に同商品が利用されている。
 こうした環境アイデアグッズを商品化する一方で、荻野社長自身も環境NPO団体「環境まちづくりネット」を2006年11月に立ち上げる。同団体は街の環境美化を手がける目的で立ち上げた組織で、環境まちづくりネットでは、これまでに新宿駅や池袋駅、高田馬場駅などの周辺の商店街などでガム取りの美化運動を行っている。

普及への期待高まる

 オギノが「ガム取り番」を発売して3年目に入ったが、ここにきて商品の販路に広がりが出始めてきた。同社ではこのほど若者らに人気の雑貨専門店で製品の販売を開始する一方、大手不動産会社を通じてマンションの管理会社で製品の一括購入が計画されるなど、販路が拡大しようとしている。同社には連日、マスコミからの取材申し込みが寄せられ、マスコミに「ガム取り番」が登場するたびに、問い合わせが殺到する。こうした状況を目にして荻野社長は「ガムは私が考えた以上に路上に落ちている。ガムを取りたいと考えている人は非常に多い」と話す。

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写真3 はがす作業も非常に簡単

 オギノではこうした時流に乗るために、製品をさらに使いやすいモノにしようと「ガム取り番」の改良にも取り組んでいる。従来の製品では液体がアスファルトに染み込んでしまい、アスファルトに付着したガムを思うように取ることができなかったが、新たに浸透性の高いガム液を開発した。「液体がアスファルトのガムの上に留まることで、少しずつガムを溶かしていく」という。また作業者の安全性を守るために、液体中に除菌剤を入れたことも新しい取り組みの1つだ。除菌剤入りのガム剥がし液として普及を目指す考えだ。
 一方、本来はガムはがしとして開発した「ガム取り番」だが、ガム以外にもさまざまな用途で利用できることが分かってきた。例えば壁や公共物に書かれた落書き落としへの利用(写真3)。オギノでは信号機にスプレーで悪戯書きされた落書きに「ガム取り番」を塗布したところ、一瞬にして清掃することができたとする。また、イベントなどで地面にガムテープを貼り付け、その後剥がす場合、きれいにはがせない事がある。こうした場合に「ガム取り番」を使用すると、「簡単にはががせる事が分かってきた」(荻野社長)と話す。同社では今後、「ガム取り番」を様々な付着物除去の液体として販売する方向性でも検討している。

グリーン情報

歩道の清掃浄化を思い立つ「ガム取りセット」区報で紹介される

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写真 荻野善昭 社長

 2003年ごろ、何か新しい事業を始めたいという思いが荻野善昭社長の頭の中に台頭していた。ビジネスチャンスを探す目的で、地元新宿区が主催するセミナーに参加する中で、荻野社長は新宿区が環境問題と雇用問題に頭を悩ませている事に気づいた。
 というのもそれまで新宿3丁目で洋服の販売を行っていた時、店舗前の歩道の清掃には常に頭を悩ませていた経験があったからだ。通行人が何げなく捨てるゴミやガムの処理を巡って店に対する苦情が絶えなかった。中でもガムは夏場になると靴底に付き、そのまま店内に入られると床も汚れてしまう。以前からシンナーを利用して、歩道にくっついたガムを取っていた事は知っていたが、「シンナーは引火性が高くどうにかならないかと常に感じていた」(荻野社長)。そうした経験と区の課題が荻野社長の頭の中で結び付き開発へと至ったのが、チューインガム除去溶剤「ガム取り番」だ。
 その「ガム取りセット」がめぐろ区報で紹介された。東京都目黒区はポイ捨て禁止条例を定め、たばこの吸い殻やチューインガムなどのポイ捨てを禁止している。目黒区は「ガム取りセット」を区民らに貸しだすが、清潔で美しい快適な街づくりの大きな手助けになっているようだ。

会社名
株式会社オギノ
代表者名
荻野善昭
所在地
〒160-0022 東京都新宿区新宿2-2-1-403
電話
03-3352-0029
FAX
03-3352-3800
従業員数
 
資本金
1,000万円
URL
http://www.e-ogino.jp/index.php