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新日鉄で培った技術とノウハウで水処理現場のニーズに応える [日鉄環境エンジニアリング株式会社]

プラントエンジニアリング業、環境計量証明事業

 日鉄環境エンジニアリングは新日本製鉄グループの環境エンジニアリング会社。これまで40年間にわたり環境技術分野で事業を展開してきた。06年には新日鉄化学傘下の新日化環境エンジニアリングと合併し現在の社名に改称し、新日鉄グループの環境分野を担う中核企業の1社として生まれ変わった。
 「豊かな環境を未来につなぐ環境ソリューション企業」を企業理念に掲げ、水・環境ソリューション、分析・環境コンサルティング、土壌調査・修復、鉄鋼環境、遺伝子解析・バイオ技術の5分野で事業を展開する。同社の特色は、エンジニアリング(調査・企画・設計)、コンストラクション(製作・建設)、オペレーション(操業管理)、メンテナンス(保全整備)の「ECOM」一貫体制でソリューションを提供できることがあげられる。また最近では、計画停電や節電対策など社会的課題に対応する製品の訴求も積極的に行っている(詳細は220頁参照)。いずれも、親会社である新日鉄の製鉄所構内業務で培った技術とノウハウを生かし、実際の製造現場のニーズをふまえた製品・サービスの提供を強みとしている。

余剰汚泥の発生量を画期的に減らせる「バイオダイエット」

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写真1 バイオダイエット

 

 水・環境ソリューション事業は、新日鉄グループの技術力を生かした独自開発の技術・ソリューションを提供している。
 主力商品の一つが、汚泥減量装置「バイオダイエット(写真1)」。下水道などの汚水処理で広く普及している活性汚泥法の悩みのタネとされてきた余剰汚泥の発生量を画期的に減らせる装置として注目を集めている。
 活性汚泥法では、汚泥中に住みついた好気性細菌を用いて排水の生物化学的酸素要求量(BOD)を除去し水を浄化するが、この時どうしても発生するのが余剰汚泥。そのほとんどを微生物の死骸が占めていると言われている。同装置では、環境負荷の低い無機酸化剤で活性汚泥微生物の細胞壁を破壊、酸化分解する。分解された微生物は活性汚泥により自己消化することで、余剰汚泥の発生量を減らすことができる。
 汚泥の減容率は農村集落排水で80%、化学工業排水で95%と極めて高く、余剰汚泥の処理コストを劇的に削減することが可能だ。
 すでに設置済みの汚水処理装置への後付けもできる。通常の活性汚泥処理プラントでは、微生物でBODを処理した後の汚泥を含んだ水を沈殿槽に送り、上澄みのきれいな水をろ過・消毒して放流する。この沈殿槽から曝気槽に汚泥を送り返す配管を分岐すれば取り付けることができる。
 競合となる汚泥減容技術にはオゾン処理法や好熱細菌法、ミル粉砕法、超音波粉砕法、高圧噴流法など各種あるが、これらに比べ設備コストは数分の1程度で済む。メンテナンスも無機酸化剤の補充のみでよい。
 こうした数々の特徴が認められ、09年3月には財団法人下水道新技術推進機構から「新技術研究成果証明書」を取得した。同証明書の取得によって、地方公共団体などの下水処理装置でも広く使われる可能性が開けてきた。

高効率のバイオリアクター「バイオアタック」

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写真2 ユニット型バイオアタック

 

 バイオダイエットと並ぶ主力商品が、高効率のバイオリアクター「バイオアタック(写真2)」である。既存の排水処理システムに比べBODの除去速度が30倍という高性能を実現し好評を博している。
 バイオアタックはアタック槽とレシーブ槽の二つの処理槽で構成する。中でも要になるのが、超高速で増殖する微生物の粉末製剤「サーブワンS―1」で、運転スタート時の種微生物として使用する。
 この微生物製剤は排水中の有機物を短時間に処理して浄化する高い処理性能を持っており、アタック槽中に投入して排水と撹拌することによって排水のBODの80%から90%が除去される。アタック槽での撹拌は、排水中に酸素を取り込み、水の流れを常時維持することで超高速増殖微生物の成育に最適な環境を作り出す上で重要な役割を果たす。
 続いて排水はレシーブ槽に送られる。ここには原生動物が住み着いており、アタック槽中で増えた超高速増殖微生物を補食する。これにより汚泥の発生量を30%~50%削減、余剰汚泥の処理コストを削減できる。
 超高速処理にはほかにもメリットがある。処理時間を短くすることで糸状性細菌が増殖できず、この菌による沈降圧密性不良(バルキング)が発生しない。バルキングとは活性汚泥と処理水が分離できなくなる現象で、活性汚泥法による排水処理装置のトラブルの7割を占めている。バルキングをなくすことで連続安定運転が可能になり、ランニングコストの低減に貢献する。
 バイオダイエット、バイオアタックはいずれも、排水処理の主流となっている活性汚泥法の弱点である余剰汚泥の問題を解決する画期的な装置。食品加工や発酵・醸造、化学・製薬工業、紙パルプなど有機性排水を出す工場全般への適用が可能だ。

ヒートポンプ技術を採用した減圧蒸発濃縮機「エコプリマ」

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写真3 エコプリマ

 これらの装置と並んで、同社が注力しているのが、工場廃液の減圧蒸発濃縮機「エコプリマ(写真3)」である。用途は廃液中の有価物の回収、ならびに廃液の減容。めっき工場やプリント配線基板などの工場での利用を想定する。動力源にヒートポンプを組み合わせて省エネ化を図っている点がユニークである。
 原理はシンプルで、気圧を落とした蒸発缶の中で、廃液を低温で蒸発させて濃縮するというもの。廃液を加熱・冷却するためのエネルギー源としては、外気の熱を冷媒を介して伝えるヒートポンプ技術を採用。100kW時の電力量で1m3の水分を蒸発させることができる。ヒートポンプを使わず、単純に水蒸気のみを使って同じ処理をした場合に比べ、エネルギーコストは4分の1で済む。
 処理の対象として考えられるのが、プリント基板工場で使うエッチング剤の廃液や、めっき工場の使用済み洗浄液など。これらは廃液中にリンなどの有価物を含んでおり、回収時には有価物として引き取ってもらえる。減容することで運搬コストを低減できる。もちろん、単純に廃棄物として処理する際にも運搬コストは低減できる。
 リン鉱石は世界的に枯渇が進んでおり、価格の変動も大きくなっている。良質なリン鉱石の産出地は中国に偏っているため、日本国内ではリサイクルを強化する動きが目立っている。この装置は廃液のリサイクルと有効活用を促進することから期待が高い。
 リンの濃縮装置自体は他社製品にもあるものの、熱効率が良くなくランニングコストがかかったり、価格が高かったりといった問題点があった。同社の装置は海外で既に実績があるうえ、半オーダーメイド的な製品のため価格も安価。酸性、アルカリ性といった廃液の性質や、処理能力によって最適なものを選ぶことができる。
 排水・廃液の処理プロセスに必要なのは、なにも装置類だけではない。同社は親会社に新日鉄化学という化学メーカーを持つ関係上、各種処理プラントで使う薬剤も自社で開発、生産できるのが強みだ。オリジナルの薬剤には、現場のニーズを基に開発にこぎ着けた、他社にないユニークな製品が多く見られる。
 「ケーイーリリーフ」はその一つ。イオン結合型の水処理剤で、排水中の化学的酸素要求量(COD)や色成分が持つイオン性官能基と結合し、CODと色成分を除去する。この薬剤はまた、排水処理プラントから出る余剰汚泥の発生量を削減する効果もある。活性汚泥中の微生物の生育環境が悪化した時に作られる微生物体外ポリマーのイオン性官能基と結合するためだ。これにより汚泥は水抜けがよくなり剥離性、含水率が低減し、汚泥の容量を減らすことにつながる。

安定操業に資するバルキング制御剤「バルヒビター」

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写真4 バルキング抑制剤「バルヒビター」

 これと同様、活性汚泥の特性を改善し排水処理プラントの安定操業に資する薬剤が、バルキング制御剤「バルヒビター(写真4)」だ。汚泥中の糸状性細菌により生じるバルキング現象が、排水処理プラントの大きな問題になっていることはすでに紹介したとおり。この薬剤は、汚泥中に生息する多種多様な細菌の中でも糸状性細菌のみを溶菌・分解することができる。活性汚泥に関する長年の研究から生まれた製品で、トラブルの種類に応じて10種類近い薬剤をラインアップしている。まさに現場のニーズに応える製品だと言える。
 排水処理現場特有のニーズに応える製品としてもう一つ挙げられるのが、活性炭再生剤「リフレエース」。水処理プラントの活性炭吸着塔に流す水に毎日少量を添加することで、活性炭の寿命を延ばし性能を向上する。活性炭塔内部で硫化水素などの悪臭物質が発生するのも抑えられる。酸化剤をベースにした薬剤で、活性炭に吸着した物質を随時酸化分解することでリフレッシュする。
 同社は、こうした薬剤類の幅広いラインアップにより、日本の水処理の現場の水準向上に貢献している。

会社名
日鉄環境エンジニアリング株式会社
代表者名
河合 潤
所在地
〒101―0031 東京都千代田区東神田1―9―8
電話
03―3862―1646
FAX
03―3862―1612
資本金
4億5,000万円
URL
http://www.nske.co.jp/